「営業利益=高評価」は間違い?金融機関が本当に見ているポイントとは

目次

はじめに

「営業利益を高めれば、会社の評価が上がる」「決算書の数字を良くすれば、銀行の融資も受けやすくなる」——
このように考えている中小企業経営者は多いかもしれません。確かに営業利益は、企業の収益力を示す重要な指標のひとつです。しかし、金融機関や投資家は、決算書の「数字」だけを見て評価しているわけではありません。

実際には、会社の実態、キャッシュフローの健全性、社長個人の資産形成など、多面的に経営を判断しています。営業利益を無理に増やそうとして、役員報酬を削ったり、地代家賃を調整したりすることが、必ずしも会社にとってプラスとは限りません。

では、中小企業経営者が本当に意識すべきポイントは何なのか?
本記事では、決算書の「実態把握」の重要性を解説し、営業利益の本質、金融機関が本当に見ているポイント、そして企業が取るべき最適な戦略について詳しくお伝えします。

この記事を読むことで、「表面的な数字ではなく、実際に評価される会社経営とは何か?」 が理解できるはずです。ぜひ、最後までお読みください。

決算書の「実態把握」の重要性とは?

決算書を読む際に最も重要なことは「実態把握」です。これは単なる数値の分析ではなく、企業の本当の収益力や資金繰りの健全性を正しく理解することを指します。

なぜ「実態把握」が大切なのか?

多くの中小企業経営者は、決算書の表面的な数字ばかりを気にしがちです。しかし、銀行や投資家、取引先は単に「営業利益がいくらか」「当期利益がプラスかマイナスか」だけで判断しているわけではありません。

例えば、営業利益が高くても、社長の役員報酬を極端に抑えているだけなら、実際の経営状況はそれほど良くないかもしれません。逆に、営業利益が低くても、社長個人にしっかりと資産が残っていれば、実質的には健全な企業経営をしている可能性が高いのです。

決算書を「実態把握」するためのポイント

  1. 営業利益だけにこだわらない
    • 営業利益が高くても、役員報酬や地代家賃を適切に考慮しなければ、実際の企業の収益力は見誤ります。
  2. キャッシュフローを意識する
    • 減価償却費や保険料のように、実際には資金流出がない項目を把握し、手元資金の流れを理解することが重要です。
  3. 会社と社長の資産を総合的に見る
    • 中小企業では、社長個人と会社の資産は密接に関連しています。銀行もその点を考慮して審査を行います。

このように、決算書の「実態」を正しく把握することが、経営判断を誤らないための第一歩になります。次のステップでは、「なぜ営業利益が重視されるのか?」について解説します。

なぜ営業利益が重視されるのか?

決算書の中でも「営業利益」が特に重視される理由を、国内外の視点から解説します。

営業利益とは?

営業利益は、企業の本業による利益を示す指標です。具体的には、売上から原価や販売費、一般管理費を引いたものになります。

営業利益の計算式
営業利益 = 売上高 − 売上原価 − 販売費および一般管理費

これは、企業が本業でどれだけ稼いでいるかを示すため、収益力を判断する上で重要です。


国際的に営業利益が重視される理由

近年、特に国際的な視点では「EBITDA(イービットディーエー)」という指標が重視されています。

EBITDAとは?

EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization)は、利息・税金・減価償却費を除いた利益を示します。

EBITDA = 営業利益 + 減価償却費 + のれん償却費

この指標が重要視されるのは、各国で金利水準や税制が異なるため、純利益を比較しても意味がないからです。例えば、日本の法人税率とアメリカの法人税率は違いますし、銀行からの借入コストも国ごとに異なります。そのため、企業の本当の収益力を比較するために、EBITDAのような指標が使われるのです。

ポイント

  • EBITDAを使うことで、国ごとの税金や金利の影響を排除できる
  • 企業の本当の「もうける力」が見えやすくなる

日本国内ではどうなのか?

日本国内でも、営業利益の重要性は高まっています。ただし、大企業と中小企業ではその見られ方が異なります。

大企業の場合

大企業は、投資家や海外の金融機関との関係が強いため、EBITDAを重視した経営が求められます。そのため、営業利益が高いほど評価されやすくなります。

中小企業の場合

中小企業では、営業利益だけで評価されることは少なく、むしろ**「実態」**を見られます。例えば、以下のようなケースでは、営業利益が低くても評価が下がるとは限りません。

会社営業利益役員報酬実質的な収益力
A社1,000万円1,000万円高い
B社100万円1,900万円高い

A社とB社を比べると、営業利益だけを見ればA社の方が優秀に見えます。しかし、B社は社長の役員報酬を高く設定しているだけで、実際の収益力は変わりません。金融機関もこの点を理解しているため、「営業利益が低い=ダメな会社」とは判断しないのです。


営業利益を追求することの落とし穴

営業利益を高くするために、無理に役員報酬を下げたり、コストを削減しすぎたりすると、実際の経営に悪影響を及ぼすことがあります。

  • 役員報酬を下げすぎると、個人の資産形成ができなくなる
  • 無理なコスト削減が、社員のモチベーションや業務の効率を下げる
  • 金融機関は「実態」を見るため、営業利益を無理に調整しても評価は変わらない

したがって、営業利益を追求するのではなく、「実態の健全性」を意識した経営が重要です。


まとめ

  • 営業利益は、企業の本業の収益力を示す重要な指標
  • 国際的にはEBITDAが重視され、営業利益の影響は大きい
  • 中小企業では、営業利益だけで評価されるわけではない
  • 無理に営業利益を上げるより、会社と個人の資産をバランスよく管理することが大切

営業利益を正しく理解する:役員報酬・地代家賃・保険料の影響

営業利益を単純に「会社のもうけ」と考えるのは間違いです。中小企業では、役員報酬・地代家賃・保険料といった項目が大きく関わるため、実態を正しく理解することが重要です。

1. 役員報酬の影響

営業利益を増やすために、役員報酬を減らすのは本当に得策なのか?
実は、そうとは限りません。

営業利益 vs 役員報酬

例えば、次のような2社を比較してみましょう。

会社営業利益役員報酬実質的な収益力
A社1,000万円1,000万円高い
B社100万円1,900万円高い

営業利益だけを見るとA社のほうが優れているように見えます。しかし、実際にはB社も同じだけ稼いでいて、社長個人の所得として分配しているだけです。

金融機関の評価はどうなる?

  • 銀行は 「会社と社長は一体」 と考える
  • 役員報酬を少なくして営業利益を増やしても、金融機関は単純に評価しない
  • 逆に、社長の年収が適切でないと、経営の安定性を疑われることも

ポイント
営業利益を上げるために役員報酬を下げるのは、金融機関の評価にはあまり影響しない。


2. 地代家賃の影響

会社が社長やその家族が所有する物件を借りているケースでは、地代家賃が営業利益に大きな影響を与えます。

地代家賃と営業利益の関係

  • 地代家賃は会社の「経費」として計上されるため、営業利益を圧縮する
  • しかし、そのお金は社長や家族に支払われるため、実質的には資産の移動に過ぎない

金融機関はどう見るのか?

金融機関は、「社長が個人で資産を持っているか」 もチェックしています。
つまり、会社の営業利益が低くても、社長個人の資産が十分あれば、評価はそれほど下がりません。

ポイント

  • 地代家賃が高くて営業利益が低くても、実際には社長の手元に資産が残っているなら問題なし。
  • 金融機関もこの点を理解しているため、「営業利益が低い=評価が低い」とはならない。

3. 保険料の影響

企業が加入する「役員保険」や「倒産防止共済」の掛金も営業利益に影響を与えます。

なぜ保険料が営業利益を下げるのか?

  • 保険料は「販売費および一般管理費」として計上される
  • その結果、営業利益は圧縮される
  • しかし、多くの保険商品は「解約返戻金」があるため、資産性がある

金融機関はどう見るのか?

銀行は「保険の積み立て=隠れた資産」と考えています。
つまり、営業利益が低くても、将来的に保険を解約すれば資金が戻ってくることを理解しているのです。

ポイント

  • 保険料を多く支払っていると営業利益は下がるが、資産として評価されるため問題なし。
  • 逆に、保険を掛けずに経費を減らして営業利益を上げると、長期的なリスク対策が不十分と見られる可能性も。

まとめ

営業利益を単純に増やすために、役員報酬を下げたり、地代家賃を減らしたり、保険料を削ることは、かえって経営のリスクを高めることになりかねません。金融機関も、決算書の数字だけでなく、会社の実態を見て判断します。

項目営業利益への影響実態評価への影響
役員報酬減らせば営業利益UP会社と社長は一体なので評価変わらず
地代家賃増えれば営業利益DOWN社長個人の資産が増えるなら問題なし
保険料増えれば営業利益DOWN資産性があるため評価には影響しない

したがって、営業利益を無理に高めるよりも、実態のバランスを取ることが経営の安定につながります。

金融機関が本当に見ているポイントとは?

「営業利益を高めれば銀行評価が上がる」と思いがちですが、実際には金融機関は決算書の数字だけでなく、企業の実態や資金の流れを総合的に判断しています。では、銀行は何を見ているのでしょうか?


1. 銀行が最も重視する「返済能力」

金融機関が最も気にするのは、「貸したお金をきちんと返せるか?」 という点です。そのため、単なる営業利益よりも、以下の指標を重視します。

① 借入金返済の余裕を示す「債務償還年数」

債務償還年数 = 有利子負債 ÷(税引後利益 + 減価償却費)

  • 短いほど良い(一般的には10年以内が目安)
  • 営業利益だけでなく、減価償却費も含めた資金余力を見ている
  • つまり、営業利益が低くても、減価償却費が多ければ問題ない場合も

② 本業での資金余力を示す「営業キャッシュフロー」

営業キャッシュフロー = 営業利益 + 減価償却費 ± 運転資金の増減

  • 資金繰りが安定しているかを判断するための重要指標
  • 「営業利益が高くても、現金が回らない会社」は評価が低くなる
  • 逆に、営業利益が低くても、現金がしっかり回っていれば問題なし

2. 銀行は「社長の個人資産」もチェックする

中小企業では、「会社の財務」と「社長個人の財務」は密接に関わっています。そのため、社長個人の資産状況も銀行評価に影響します。

① 役員報酬と個人の貯蓄

  • 銀行の支店長は、自分の年収と社長の役員報酬を比較することもある
  • 「役員報酬を無理に下げると、むしろ評価が下がることも」
  • 会社と社長の「合計資産」を見て判断

② 社長の資産形成(地代家賃・保険)

  • 会社が社長の所有物件に賃料を支払っている → 社長個人の資産が増える
  • 会社が役員保険に加入 → 解約すれば現金化できる

これらを考慮し、営業利益が低くても、実際には資産がある場合は評価が高くなるのです。


3. 金融機関は「見せかけの数字」に騙されない

「営業利益を増やせば評価が上がる」と思って、無理に経費を削減しても、銀行は簡単には騙されません。以下のようなケースでは、逆にリスクとみなされることもあります。

① 役員報酬を無理に下げる

→ 「社長個人の資産形成ができていない」と判断され、経営の安定性に不安を持たれる。

② 保険や積立を削って営業利益を上げる

→ 「リスク管理が不十分」と見なされ、将来的な安定性が低いと判断される

③ 売上を無理に増やす

→ 「取引先への過剰な値引きや無理な売上計上ではないか?」と疑われる。

銀行は決算書の細かい項目までチェックし、表面的な数字の操作を見抜きます。むしろ、堅実な資産形成やキャッシュフローの安定を重視するのです。


まとめ

銀行は営業利益だけでなく、以下のポイントを重視しています。

項目銀行の評価ポイント
債務償還年数短いほど良い(10年以内が目安)
営業キャッシュフロープラスで安定していること
社長個人の資産役員報酬・地代家賃・保険の活用
実態の安定性無理に営業利益を上げるより、バランス重視

営業利益を無理に増やすことよりも、資金繰りを安定させ、会社と社長個人の両方の資産を健全に管理することが、銀行評価を上げる最善策となります。

中小企業経営者が取るべき最適な戦略

これまでの内容を踏まえると、中小企業経営者が本当に注力すべきポイントが見えてきます。営業利益を単に増やすことを目的とするのではなく、実態の安定性を意識し、金融機関の評価を高める戦略を取ることが重要です。

1. 営業利益を「適切な水準」で維持する

営業利益を無理に増やすのではなく、適切なバランスを取ることがポイントです。

最適な営業利益の考え方

  • 無理に役員報酬を下げて営業利益を増やさない
    → 役員報酬が適切でないと、金融機関の評価が下がる可能性あり
  • 地代家賃を適正に設定する
    → 会社から社長個人に資産が移動する形を作る
  • 保険や共済を活用し、資産を分散する
    → 倒産防止共済・役員保険などで将来のリスクヘッジを行う

2. キャッシュフローを重視する

銀行は営業利益よりも**「本業でどれだけ現金が生み出されているか」** を見ています。そのため、以下の2つを意識することが重要です。

① 営業キャッシュフローをプラスにする

  • 売掛金の回収を早める
  • 過剰な在庫を持たない
  • 無理な設備投資を控え、借入金を適切に管理する

② 適切な資金繰り管理

  • 運転資金(売上債権・買入債務・棚卸資産)を適正にコントロール
  • 短期借入金と長期借入金のバランスを取る

ポイント
「利益を増やすこと」よりも「お金を回すこと」が大事!


3. 社長個人の資産形成を意識する

中小企業の場合、社長個人の資産と会社の資産は一体と見られます。したがって、社長個人の資産を適切に形成することも、金融機関の評価につながるのです。

社長個人の資産を増やす方法

施策メリット
適正な役員報酬を取る生活の安定 & 銀行評価UP
自社物件の購入&会社から賃料を受け取る個人の資産形成 & 節税効果
役員保険の活用将来の資金準備 & 資産性のある経費
倒産防止共済の活用企業のリスク管理 & 資産形成

このように、営業利益だけでなく、社長個人の資産形成も意識することで、長期的な経営の安定につながります。


4. 銀行との信頼関係を築く

金融機関の評価を高めるためには、「良好な取引関係を築く」 ことが重要です。具体的には、以下のようなポイントを意識しましょう。

銀行からの評価を上げる方法

定期的に試算表を提出し、経営状況を開示する
資金繰りの相談を事前に行う(ギリギリになってからでは遅い)
借入の「目的」と「返済計画」を明確に伝える
銀行担当者とのコミュニケーションを密にする


まとめ

中小企業経営者が取るべき最適な戦略は、単なる「営業利益の増加」ではなく、実態を安定させ、金融機関の評価を高めることです。

施策具体的な内容
営業利益の適正化無理に増やさず、役員報酬・地代家賃をバランス良く管理
キャッシュフロー重視営業キャッシュフローをプラスに維持する
社長個人の資産形成役員報酬・地代家賃・保険を活用し、個人資産を増やす
銀行との信頼関係構築試算表の提出、事前相談、密なコミュニケーション

おわりに

中小企業経営において、「営業利益を高めること」が最優先の目標であるかのように考えられがちですが、実際には企業の実態をいかに健全に維持し、資金繰りを安定させるかが最も重要です。

金融機関や取引先は、決算書の数字だけではなく、会社のキャッシュフローや社長個人の資産形成までを含めて評価を行います。したがって、営業利益を増やすために役員報酬を無理に削減したり、必要な経費を抑えたりすることは、かえってリスクになる可能性もあります。

本記事で紹介したように、キャッシュフローの健全化、資産形成のバランス、金融機関との良好な関係構築が、中小企業経営において本当に大切なポイントです。

今後の経営判断の参考として、決算書の数字だけにとらわれず、実態を正しく把握する視点を持ち、持続的に成長するための経営戦略を実践していきましょう。

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