営業マンを増やしても利益は出ない理由 ─ 生産性・粗利重視の戦略へ

目次
- 1 はじめに
- 2 なぜ「営業マン増員」が赤字脱却の解決にならないのか?
- 3 営業部門の「見える化」〜1人あたりの生産性を測る方法
- 4 「増員」よりも「改善」で利益を出す実践施策5選
- 5 利益構造から考える最適な営業戦略フレームワーク
- 6 売上拡大より粗利最大化を狙う組織マネジメントとは?
はじめに
あなたの会社は、営業マンを増やせば利益が増えると考えていませんか?
多くの中小企業経営者は、売上が伸び悩むと「営業人員の増強こそが突破口だ」と信じがちです。
確かに、営業が優秀であれば受注は増えます。
しかし、売上が増えたのに、なぜか赤字が拡大していく——そんな事例は少なくありません。
本記事では、缶詰製造業を営むC社の事例をもとに、「営業マン2名の増員が、赤字脱却に寄与しなかった理由」を徹底的に解説します。
営業人員を増やすという経営判断の裏にある、
- 営業1人あたりの生産性
- 粗利構造の見直し
- 営業戦略の再設計
- 利益思考の組織マネジメント
といった視点を持つことで、**「人を増やさずに利益を上げる経営」**が可能になるのです。
読み進める中で、あなたの会社に本当に必要な営業施策が見えてくるでしょう。
このブログ記事は、次のような方に特に役立ちます:
- 営業を増やしたのに赤字が改善されないと悩む社長
- 売上はあるが、なぜか利益が出ない経営者
- 営業改革を実行したいが、どこから手を付けるべきか迷っている方
- 人を増やすかどうかで悩んでいる中小企業の幹部
- 組織を「売上体質」から「利益体質」へ変えたいリーダー
今、あなたが手を止めてこの文章を読んでいるということは、
何かしらの違和感や危機感を感じているのだと思います。
その直感は正しいかもしれません。
ぜひ、読み終わるまでの数分間、あなたの思考を「売上」から「利益」へ切り替えてみてください。
なぜ「営業マン増員」が赤字脱却の解決にならないのか?
「売上さえ増えれば、会社は救われる」と信じていませんか?
中小企業の社長が赤字に悩むと、まず考えるのが「もっと営業を増やそう」「売上さえ上がれば、何とかなるはず」という発想です。
でも、その考えが会社の首を絞めているとしたら——?
この章では、売上よりもはるかに大切な**「付加価値」と「営業効率」**の視点から、「セールスマンを増やせば利益が出る」という幻想を、数字とロジックで粉砕します。
C社の事例に学ぶ:「営業増員=利益増」にならなかった実例
以下のC社は、缶詰製造業を営む中小企業です。
業界は過当競争、利益率も低く、営業努力はしているが赤字体質が抜けない。
そこで社長は、「セールスマンを2名増やして売上を伸ばせば、黒字になるだろう」と考えたわけです。
では、どうなったのか?
営業マン2名増加による損益変化(要点抜粋)
| 指標 | 増員前(実績) | 増員後 | 増分 | 増分比率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 830百万円 | 1,066百万円 | +236百万円 | 28.4%増 |
| 付加価値額 | 555百万円 | 727百万円 | +172百万円 | 31.0%増 |
| 営業利益 | ▲30百万円 | ▲18百万円 | +12百万円 | 黒字化せず |
| 経常利益 | ▲29百万円 | ▲17百万円 | +12百万円 | 依然赤字 |
| セールスマン人数 | 10人 | 12人 | +2人 | 20%増 |
→売上も付加価値も増えたが、赤字は解消されなかった
この結果、なぜ「失敗」と言えるのか?
増えたのは「売上」ではなく「負担」
- セールスマンを2名増やすコストは、年収+経費で1人あたり約750万円
- 2人で1,500万円の追加コストがかかる
- 一方、経常利益の改善幅はわずか1,200万円
- 実質、コスト増に利益が追いついていない
「付加価値率」がそもそも低いビジネス
- 営業がどれだけ頑張っても、製品そのものの価値が低ければ、利益には直結しない
- 缶詰製造業のような低付加価値業種では、「売上」よりも「利益率」重視が鉄則
増員=営業効率の悪化
- 人数を増やした結果、1人あたりの売上が83百万円→88.8百万円に微増
- しかし、人件費を考えると「増えたのは負担だけ」という結果に
失敗の本質:考えるべきは「セールスマン1人あたりの付加価値額」
重要な指標(社長がチェックすべきKPI)
| 指標 | 意味 | C社での値 |
|---|---|---|
| 売上高/セールスマン | 1人あたり売上額 | 約89百万円 |
| 付加価値額/セールスマン | 1人あたり付加価値額 | 約60百万円 |
| 経常利益/セールスマン | 1人あたり利益 | マイナス(赤字) |
→ 営業がいくら頑張っても、1人当たりが生み出す利益が赤字では本末転倒
中小企業が陥る「売上至上主義」の落とし穴
以下のような“思い込み”は極めて危険です:
- 「売上が上がれば、利益も自然に増える」→ ✕
- 「営業マンが増えれば、売上も比例して伸びる」→ ✕
- 「目先のキャッシュを確保すればいい」→ ✕
これはまさに「売上は増えたが、会社の体力は削られている」という状態。
このままでは、黒字倒産一直線です。
経営者の本当の役割は「営業のコスト対効果を最大化すること」
人を増やす前に、以下のようなことを考えましたか?
- 既存の営業マンは、本当に最大の力を出しているのか?
- 顧客1件あたりの粗利はどれほどか?
- リピート率は?解約率は?営業後のLTV(顧客生涯価値)は?
- 無駄な移動・提案・アプローチはないか?
- 「売れる商材」と「売れない商材」の差は何か?
まとめ:売上よりも「利益を残す構造」を作れ
営業マンを増やすことは、時に大きな投資効果を生むこともあります。
しかしそれは、「利益率が高く、営業1人あたりの生産性が高いビジネス」に限った話です。
特に以下のような中小企業は要注意です:
営業部門の「見える化」〜1人あたりの生産性を測る方法
なぜ「営業の見える化」が必要なのか?
経営者が営業マンの増員を検討するとき、多くの場合は感覚に頼っています。
- 「最近売上が落ちてきた」
- 「営業が疲弊しているように見える」
- 「競合に取られているかも…」
このような「感覚」に基づいて人を増やしてしまうと、数字がついてこないままコストだけが膨らみます。
だからこそ必要なのが、「営業部門の見える化」、そして営業1人あたりの生産性を明確にすることです。
生産性=「かけたリソースに対して得られた成果」
営業部門の生産性とは、簡単に言えば:
1人の営業マンが、会社にどれだけ利益(もしくは付加価値)をもたらしたか?
これを定量的に把握することで、
- 増員すべきかどうか?
- 改善すべきポイントはどこか?
- 投資対効果が見合うか?
といった判断ができるようになります。
【基本フレーム】営業生産性の見える化5指標
| 指標名 | 説明 | 最低でも測るべき理由 |
|---|---|---|
| ① 営業売上高(1人あたり) | 売上÷営業人数 | 粗利を上回っていない場合、赤字化 |
| ② 粗利額(1人あたり) | (売上−変動費)÷営業人数 | 利益貢献度を把握する |
| ③ 受注率 | 成約件数÷提案件数 | 質の高い営業かどうか判断可能 |
| ④ 顧客獲得単価(CPA) | 営業コスト÷新規獲得数 | 増員判断に不可欠な費用対効果指標 |
| ⑤ LTV(顧客生涯価値) | 顧客1人から得られる累積利益 | 将来の利益が読めるようになる |
計算例(仮想データ)
たとえば以下のような営業マンがいたとします:
- 年間売上:6,000万円
- 変動費:3,600万円(原価60%)
- 営業コスト:年収+経費で750万円
- 新規契約数:12件(1件あたり500万円)
- 提案件数:48件(成約率25%)
- 顧客LTV:1件あたり800万円
この場合のKPIは以下の通り:
| 指標 | 値 |
|---|---|
| 売上高(1人) | 6,000万円 |
| 粗利(1人) | 2,400万円 |
| 受注率 | 25% |
| CPA | 約62.5万円(750万÷12件) |
| LTV | 800万円 |
→ 1人で粗利2,400万円稼げていて、CPA62万円、LTV800万円なら超優秀な営業です。
営業部門の生産性が「可視化」できると何が起きるか?
以下のような戦略的判断が可能になります。
1. 「本当に増員が必要なのか?」が明確になる
→ 生産性の低い営業マンを増やしても、赤字が増えるだけ
2. 「どこにボトルネックがあるか」が見える
→ 提案数が足りない?成約率が低い?単価が安い?それともフォロー不足?
3. 「人材育成」のターゲットが定まる
→ 全員一律ではなく、個別に伸ばすべき能力を特定できる
【実務Tips】営業見える化に使える簡易テンプレート
以下のようなスプレッドシート(Excel)で十分です。
| 営業名 | 売上 | 原価 | 粗利 | 提案件数 | 受注数 | 受注率 | 顧客単価 | CPA | LTV |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Aさん | 6,000万 | 3,600万 | 2,400万 | 48件 | 12件 | 25% | 500万 | 62.5万 | 800万 |
| Bさん | 3,000万 | 2,100万 | 900万 | 40件 | 10件 | 25% | 300万 | 75万 | 600万 |
| Cさん | 5,000万 | 4,000万 | 1,000万 | 60件 | 9件 | 15% | 550万 | 83万 | 700万 |
このように数値で比較すれば、誰が優秀で、誰が改善すべきか一目瞭然です。
経営者が取るべき3つのアクション
- 営業生産性のKPIを設定せよ
- 目標は「営業1人あたり粗利2,000万円超」が目安
- 営業活動を数値で管理せよ
- 感覚ではなく、「事実」で判断する
- 増員の前に改善余地を探せ
- 増やすのは最後。まずは既存人員の最大化が先
まとめ:人を増やす前に「数字」で判断せよ
営業部門は会社の心臓部とも言えます。
しかし、その動きがブラックボックスのままでは、どこに血が通っていて、どこが詰まっているか分かりません。
数字に基づいて、営業部門の構造を可視化し、強化すべきポイントを特定すること。
それが、「ムダな人件費をかけずに利益を上げる」王道です。
「増員」よりも「改善」で利益を出す実践施策5選
本当に増員が必要ですか?
営業成績が伸び悩んでいる時、つい「人手不足だ」「もっと営業を増やせば売れるはず」と考えてしまうのが経営者の性です。
しかし、人を増やす前にやるべきことがあります。
それは、今ある営業資源を徹底的に見直し、改善によって利益を引き出すことです。
ここでは、営業マンを1人も増やさずに利益を改善するための「即実行できる施策」を5つに絞って紹介します。
施策①:訪問件数ではなく「商談数」と「受注率」に注目する
よくある誤解
営業活動を評価する際に、「訪問件数」や「テレアポ数」など量的指標にばかり目が行きがちですが、それは目的ではなく手段に過ぎません。
改善のポイント
- 商談1件あたりの受注確率を数値化する
- 「アポ取り」から「商談成約」へのプロセスを見直す
- 商談の質を高める営業ツール(提案書、事例集、価格表)を整備
実行例
- 提案書テンプレートの整備と全営業への導入
- 商談同行によるフィードバック制度の開始
- 受注確率30%未満の提案手法を廃止・改善
施策②:単価アップ戦略を導入する
営業マンが売る商品の「単価」が上がれば、同じ工数で粗利が跳ね上がります。
具体的な手法
- 上位プラン(プレミアム版)の開発
- セット販売・クロスセルの導入
- サブスクリプション化によるLTV(顧客生涯価値)の引き上げ
成果例(仮想)
ある製造業では、10万円の商品しか扱っていなかったが、オプション品を組み合わせた「パッケージ提案」により、1件平均売上が10万円→17万円に上昇。
結果、営業活動の量は変えずに、売上は170%に改善した。
施策③:既存顧客の掘り起こしと再販売
新規開拓ばかりが営業ではありません。
既存顧客への再アプローチは、新規獲得に比べて5分の1以下のコストで済むというデータもあります(参考:Marketing Metrics)。
再販売の切り口
- 購入から6ヶ月経過した顧客へのリマインド営業
- 顧客の利用履歴を元にしたアップセル提案
- 誕生日・記念日などのパーソナライズDM
実行例
- CRM(顧客管理ツール)で休眠顧客を抽出し、架電やDMを実施
- サポート部門からのフィードバックをもとにリピート需要を促進
施策④:見積書の構造を利益重視に変える
営業が作る見積書が「値引き前提」で設計されていないか、再点検すべきです。
改善アプローチ
- 利益を残しやすい構成に変更(高利益商品を中心に据える)
- 値引きではなく付加価値提案で納得感を高める
- 最低利益ライン以下の案件は受注しないルールを設定
実行例
- 「値引き率3%以下」ルールの導入
- 「見積提示前にROI(投資対効果)を説明」する営業手順書の作成
- 粗利30%未満の案件はマネージャー承認を必須化
施策⑤:営業と製造・サービス部門との連携を強化する
営業がどんなに頑張っても、「納品が遅い」「品質にばらつきがある」「サポートが悪い」など、後工程の問題で信頼を失ってしまうことは多々あります。
対策の視点
- 営業と現場の情報連携の仕組みを設計する
- 営業は顧客要望を正確に伝え、現場は納期・コストに正直に伝える
- 売上ではなく「粗利」と「顧客満足」の共通指標で動く
実行例
- 営業と製造の週次連携ミーティングを設定
- 営業活動に対して現場からのフィードバック制度を導入
- 受注前に現場確認を義務化し、納期遅延ゼロを目指す
まとめ:改善は「明日から」でもできる経営手段
営業マンを増やすのは、企業にとって中長期の大きな投資です。
一方、今回紹介したような改善策は、即実行できて、しかもコストをほとんどかけずに利益を増やせる方法です。
重要なのは、「もっと売れ」と言うことではなく、
- どう売るか?
- どの商品を売るか?
- 誰に売るか?
- 売ったあとどうするか?
これらを見直すことです。
利益構造から考える最適な営業戦略フレームワーク
営業は「売る部門」ではなく「利益を生む部門」である
営業部門=売上を上げる役割と思われがちですが、
実際には会社の利益構造そのものを左右する司令塔であるべきです。
この章では、「売上至上主義」を脱却し、利益中心型の営業戦略を構築するためのフレームワークを解説します。
フレームワーク①:バリューチェーン分析から営業の役割を再定義する
マイケル・ポーターが提唱した「バリューチェーン理論」は、企業活動を価値創出の視点から分解する考え方です。
営業部門は、この中で「販売・マーケティング」の位置に該当しますが、単に売るだけではなく、全社の価値最大化の起点になるポジションです。
営業部門が果たすべき5つの価値提供
| 項目 | 営業部門の関与 |
|---|---|
| 製品企画 | 顧客ニーズの収集と現場フィードバック |
| 調達・製造 | 顧客要求に基づくスケジュール調整 |
| ロジスティクス | 顧客の納期要求・在庫状況を現場に伝達 |
| サービス | 営業がフォローアップ窓口となり再販を促進 |
| 経営戦略 | 市場動向・競合情報を経営へフィードバック |
営業を単なる「注文取り」ではなく、「市場と会社をつなぐ翻訳者」と定義し直すことで、戦略的役割が明確になります。
フレームワーク②:3C分析で営業の優先市場を定める
営業リソースは有限です。だからこそ、「誰に売るか」が戦略の根幹になります。
3Cとは:
- Customer(市場・顧客)
- Competitor(競合)
- Company(自社)
の3つの視点から戦略を整理するフレームワークです。
3Cで営業ターゲットを明確化する手順
- Customer:高付加価値で再購入率の高い顧客層を特定
- 年間購入額が高い顧客
- 値引き交渉が少ない顧客
- 契約継続率の高い業界・企業規模
- Competitor:競合に奪われているセグメントを把握
- 商談敗因の分析
- 競合商品の強み・価格帯を把握
- Company:自社が最も価値提供できる分野を選定
- 自社技術・納期・柔軟対応などの強み
- 営業マンの専門知識や関係性
→ このプロセスを通じて、「売りやすいが利益が出ない市場」ではなく、「利益が残る顧客層」への営業集中を可能にします。
フレームワーク③:PEST分析で営業環境の変化を読む
PESTはマクロ環境分析の手法で、以下の4軸から市場変化をとらえます。
- P(Politics)政治・法規制
- E(Economy)経済情勢
- S(Society)社会動向・価値観
- T(Technology)技術革新
営業戦略は、これらの外部環境と無関係ではいられません。
営業に与える影響の例
| 要因 | 営業への影響例 |
|---|---|
| 法改正(P) | 建設業でのアスベスト規制→新素材需要が増加 |
| 景気後退(E) | 高額商品の売上減少→低価格帯の提案強化 |
| SDGs意識の高まり(S) | エコ商品・脱プラ製品の提案が評価される |
| DXの進行(T) | IT導入支援を求める顧客が急増 |
これにより、営業が単なる現場対応ではなく、「社会の変化を先読みする戦略的アクション」として機能するようになります。
フレームワーク④:カスタマージャーニーで営業活動を設計する
カスタマージャーニーとは、顧客が商品を認知してから購入・リピートに至るまでの「体験の道筋」を可視化したものです。
これを営業戦略に応用することで、次のような変化が生まれます。
従来型の営業
- 営業「商品案内→クロージング」
- 顧客「よくわからないまま購入 or 離脱」
カスタマージャーニー営業
- 認知:業界事例で関心を持たせる
- 比較:無料診断で体験を提供
- 検討:導入後のシミュレーション提案
- 契約:ROI(費用対効果)提示
- 継続:フォロー施策と追加提案
顧客視点で営業活動を組み立て直すことで、受注率・単価・継続率すべてが改善されます。
フレームワーク⑤:利益最大化のための「営業KPIマトリクス」
最後に、営業部門の行動管理と収益管理を統合するフレームワークです。
| 項目 | 定量KPI | 定性KPI |
|---|---|---|
| 商談活動 | 商談件数、受注率、平均単価 | 提案の質、提案の早さ |
| 顧客対応 | クレーム件数、再購入率 | 顧客満足度、対応スピード |
| 売上・利益 | 粗利額、営業利益 | 営業方針の一貫性、戦略性 |
このように、営業活動を数字と行動の両面から管理することで、「量より質」の営業組織に転換できます。
まとめ:営業戦略は「感覚」から「設計」へ
営業戦略を「現場任せ」にしてしまうと、結果もバラつき、利益構造も安定しません。
経営者が主導でフレームワークを使い、営業の設計図を描く。
それが、単なる売上部門から、利益を生む戦略部門へと進化させる第一歩です。
売上拡大より粗利最大化を狙う組織マネジメントとは?
「売上を上げろ」より、「利益を残せ」と言える経営へ
あなたの会社の会議で、こんな言葉が飛び交っていませんか?
- 「今月の売上目標は達成したか?」
- 「あと1件取ればノルマクリアだ」
- 「何でもいいから契約を取ってこい」
その言葉、利益に直結していますか?
この章では、営業部門に「粗利最大化」を組み込むための組織マネジメントの再設計方法を解説します。
売上を追うな、粗利を設計せよ
なぜ売上ではなく「粗利」なのか?
売上は会社の血液である一方、**粗利は“栄養”**です。
いくら売上があっても、粗利が薄ければ赤字倒産もあり得ます。
つまり、売上は結果、粗利は設計の問題なのです。
【比較表】売上至上主義 vs 粗利マネジメント
| 項目 | 売上至上主義 | 粗利マネジメント |
|---|---|---|
| 経営目標 | 売上高の最大化 | 粗利率の安定と向上 |
| 営業指標 | 件数、金額 | 単価、利益率、LTV |
| 報酬制度 | 売上インセンティブ中心 | 粗利ベースのインセンティブ |
| 行動傾向 | 値引きで受注、無理な納期 | 高付加価値商談、選別受注 |
| 組織風土 | 数字優先、短期視点 | 顧客貢献、長期関係重視 |
経営者がやるべき粗利志向のマネジメント5原則
1. 営業に「粗利目標」を明示する
- 売上ノルマだけでなく、粗利額・粗利率目標も同時に管理
- 例:「月間売上500万円以上、かつ粗利率30%以上を目標とする」
2. 「受注しても赤字」の案件は排除する仕組みを作る
- 利益試算を社内で事前共有する体制を整備
- 営業が一人で値決めしないルールの導入
3. 粗利率の高い商品ラインナップを育てる
- 商品のABC分析を実施し、A群(高粗利商材)への営業集中を促す
- 低粗利商品はセット売り、アップセルなどで利益改善
4. 利益重視の報酬制度を導入する
- 「売上額×粗利率×達成率」など、複合評価の報酬設計
- 成果報酬型でも“利益を残す人”が評価される仕組み
5. 粗利思考を共有する社内文化を育てる
- 毎週の営業会議で粗利データを共有
- 商談後の「利益レビュー」を制度化
- 社員研修で財務的視点を強化する
組織を「利益志向」に転換するフロー
- 現状分析
- 商品別の粗利率と営業別の受注傾向を分析
- 戦略立案
- 粗利率を高める商品・顧客・営業手法を特定
- KPI設計
- 粗利率、LTV、原価率などを主要評価指標に設定
- 制度改訂
- 報酬制度、営業ルール、見積ルールの見直し
- 教育と浸透
- 幹部層から「利益の出し方」を理解・実行させる
成功事例:粗利志向でV字回復した地方メーカーのケース
- 業種:包装資材メーカー(社員45名)
- 課題:売上は安定していたが、営業の値引きにより粗利率が20%前後に低迷。慢性的な赤字。
- 改善策:
- 商品別利益管理を導入し、営業に「原価と粗利」を教育
- 高利益商品への営業集中
- 値引きにインセンティブを与えず、粗利貢献で評価
- 結果:
- 営業1人あたり粗利額が18%増加
- 売上は微増(+3%)だが、経常利益は2年で2.5倍に
まとめ:売上の多寡より、「利益が残る仕組み」を作れ
経営者が注目すべきは、「どれだけ売れたか」ではなく、「どれだけ利益が残ったか」です。
そのためには、組織全体を粗利思考に再設計する必要があります。
営業戦略、評価制度、商品設計、教育方針——
あらゆるものを「利益が出る構造」に変えることで、増員せずとも利益を最大化できる組織が生まれます。
おわりに
営業マンを増やすことは、経営資源として大きな決断です。
しかし、売上という表面的な数字だけを見て、「人を増やせばなんとかなる」という発想に陥ってしまえば、結果的に会社の体力を奪うことになります。
本記事で紹介した缶詰メーカーC社の事例は、「売上は増えたが利益は出なかった」典型例でした。
重要なのは、営業活動を通じてどれだけ“粗利”を積み上げられるかです。
そしてそのためには、単なる人海戦術ではなく、
- 営業1人あたりの生産性を高める仕組み
- 粗利構造を見据えた提案・商品設計
- 戦略に基づいた営業ターゲットの選定
- 数字に基づく評価・報酬制度の最適化
こういった“経営の視点”から営業戦略を再設計することが欠かせません。
「売上を上げろ」ではなく、
「利益を残せる営業をしよう」と言える会社。
それが、これからの時代に生き残り、成長を続けられる企業です。
最後に、経営者への問いかけ
今、営業マンを増やそうか迷っているあなたへ。
その前に、以下の問いにYESで答えられるか、自問してください。
- 既存の営業マンの生産性は最大化されているか?
- 増員による利益改善効果を数字で試算しているか?
- 組織全体が「粗利志向」に切り替わっているか?
この問いへの答えがYESでなければ、
あなたの会社が必要としているのは「増員」ではなく「改善」かもしれません。
経営は“選択”の連続です。
目先の売上ではなく、5年後・10年後の利益体質を育てる決断をしてください。決断をしてください。

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