社長の役員報酬はいくらが正解?支店長の年収を超えるべき本当の理由

目次

はじめに


「役員報酬って、いくら取るのが正解なんだろう?」

これは、ほぼすべての中小企業経営者が一度は直面する永遠のテーマです。
税理士に聞いても「会社の利益とのバランスを見て判断しましょう」と言われるだけで、結局どこか煮え切らない…。

でも、もしあなたが、

  • 銀行との交渉でいつも“下から目線”になってしまう
  • 「もっと会社に利益を残すべきだ」とプレッシャーを感じている
  • 役員報酬を上げたいが、自信がない・根拠がない

こんな気持ちを持っているとしたら――
それは**「財務を見る目」と「数字の戦略性」が足りていないだけ**かもしれません。

本記事では、会計のプロ・金融の現場・交渉心理の視点から、役員報酬というテーマを徹底的に掘り下げます。

  • なぜ銀行の支店長より年収が高いと交渉で有利になるのか?
  • 経常利益よりも、役員報酬が重視される本当の理由とは?
  • 稼ぐ力はどう測る?「経常利益+役員報酬」という考え方
  • 報酬設定が、節税・経営安定・金融評価を左右するフレームワーク

読み終える頃には、**「これは自分のための記事だ」**と実感していただけるはずです。

中小企業の経営者が、銀行にナメられず、自信を持って報酬を設定し、企業価値を高める――
そんな本質的な戦略を、今から一緒に紐解いていきましょう。

役員報酬は“見せる”武器になる:年収で銀行支店長に勝つ理由


経営者の誰もが抱える「役員報酬、いくらが妥当?」という悩み

「自分の役員報酬って、いくらが妥当なんだろう?」

中小企業の社長であれば、必ず一度は考える悩みです。税理士に相談しても、「バランスが大事です」と抽象的に言われて終わってしまうことが多い。でも本当は、それだけでは足りないんです。

実は、役員報酬はただの“給与”ではなく、あなた自身の“交渉力”を左右する武器であることをご存知でしょうか?

銀行、特に信用金庫や地方銀行との付き合いにおいて、「社長の年収」というのは見られています。しかも、ただ“見られている”のではなく、“測られている”んです。あなたの会社の稼ぐ力、信頼性、そして経営者としての“格”までもが。


なぜ「銀行の支店長の年収」が基準になるのか?

さて、ここでひとつ基準をご紹介します。

あなたの役員報酬の目標は、「銀行の支店長の年収を超えること」。

なぜか?理由はシンプルです。

  • 支店長クラスの年収は、地方銀行で1000万円〜1500万円程度
  • 銀行員は、意外とこの「自分より年収が高いかどうか」を気にしています。
  • 年収が下と分かると、自然と態度に「上から目線」が混じるケースがある。
  • 一方で、自分より稼いでいる相手には、言動が“変わる”のが人間心理。

つまり、役員報酬というのは**金融機関との力関係を整える「心理的な武器」**になるわけです。

実際に、「年収が支店長より上の社長」には、露骨に態度を変える銀行員も珍しくありません。


銀行との交渉は「心理戦」

では、実際に支店長より高い年収を設定することで何が起きるか。

■ ケーススタディ:ある建設会社社長の逆転劇

  • 地方都市で20名規模の建設会社を経営するA社長
  • 役員報酬は月額60万円(年720万円)
  • 地元地銀の支店長に「決算が弱い」「保証は外せない」と圧力をかけられていた

そこで、役員報酬を月100万円+年俸制期末賞与300万円=計1500万円に変更。

次回の融資交渉の際、支店長が明らかに態度を軟化。
「この規模で1500万円か…」と漏らしたという証言も。

最終的には、

  • 担保の一部解除
  • 当座貸越枠の新設
  • 金利0.3%引き下げ

など、有利な条件を引き出すことに成功した。


金額設定の目安:年収1500万円が1つの“壁”

ここで一つ、参考として押さえておきたいのが、「年収1500万円」というラインです。

  • 地銀の支店長の平均年収:1000〜1300万円
  • メガバンクの支店長でも1500万円を超えるケースは少数
  • よって、1500万円を超えると**「支店長クラス超え」**になる

これは、単に銀行に「見栄を張る」話ではありません。

役員報酬が持つ“見せ金”効果:

項目役員報酬が高い場合役員報酬が低い場合
銀行の見る目経営者としての力量を評価「余裕がない」と見なされる
心理的交渉力相手が慎重になる相手が上から来やすい
財務評価実質の収益力が強く見える経常利益に依存し誤解を招く
将来の信用枠大きくなりやすい現状維持または縮小しやすい

「年収で勝て」=「自信で交渉せよ」

最終的に、役員報酬の高さは、銀行との交渉の土俵に“対等な立場”で立つための自信につながります。

「俺の方が稼いでる」という裏付けがあると、支店長の無礼な態度にも動じなくなる。

相手の態度が変わらなくても、あなた自身の“交渉スタンス”が変わることで結果は大きく変わるのです。


まとめ:支店長より上に立て、それが「経営力」

  • 役員報酬は単なる給与ではない、「見せる武器」。
  • 年収1500万円は、銀行支店長との“立場の逆転”ライン。
  • 見せ金としての役員報酬は、あなたの経営力を証明する“スコア”。
  • 支店長に舐められたくないなら、黙って年収で勝て。

これは、数字と心理の両面から相手を上回るための、最もシンプルで、最も確実な方法なのです。

数字は嘘をつく、でも報酬は嘘をつけない:本当に見るべき指標とは?


経営指標の落とし穴:「利益」はいくらでも作れる?

中小企業の経営者にとって、決算書の数字は生命線のように思えます。

  • 売上高
  • 経常利益
  • 売上高経常利益率
  • 総資本経常利益率(ROA)

など、財務指標を気にする方も多いでしょう。しかし、ここで一度立ち止まって考えていただきたいのが、

**「その数字、どこまで信用できますか?」**という問いです。

結論から言えば、決算書に出てくる多くの指標は、意図的に「操作可能」な数字です。特に、経常利益は、税理士や経理担当者のさじ加減ひとつで大きくブレる数字です。


なぜ経常利益は「操作されやすい」のか?

ここでは、経常利益がどうやって“つくられる”か、具体的に見ていきましょう。

■ 経常利益を増やす典型的な方法:

  1. 在庫を水増しする
    • 実際に売れていない在庫を「資産」として計上し、費用にせず、利益を水増し。
  2. 売上の前倒し
    • 翌月の売上を「売上計上日」を操作して、今期に無理やり入れ込む。
  3. 経費の先送り
    • 今期使った費用を、来期の経費に回して、当期の利益を“美化”。

■ 経常利益は「100人の税理士がいれば100通りできる」と言われる理由

経費の認識基準、減価償却の考え方、棚卸の評価などは税理士によって解釈が異なります。

つまり、同じ実態でも、異なる“経常利益”が生まれるのが実態です。


総資本利益率(ROA)はさらに信用できない?

ROA(総資本経常利益率)は、よく使われる財務指標のひとつです。

「会社が総資本に対してどれだけ効率的に利益を生み出しているか」

を表すものとされていますが、これも実は問題だらけ。

なぜなら、総資本(資産)そのものが“過去の価値”で構成されているからです。

例えば:

  • 30年前に1億円で購入した土地が、今は実勢価格1000万円に落ちていても、貸借対照表には1億円のまま記載。
  • つまり、時価とのズレが激しすぎて、現在の経営状況を正確に反映していない

このように、ROAを正確に計算しても、「意味のない数字」になりがちです。


嘘がつけない数字、それが「役員報酬」

そんな中で、唯一“操作ができない”指標があります。

それが、役員報酬です。

なぜ操作できないのか?理由は明確です。

■ 税務上「定期同額給与」のルールがある

  • 期中に役員報酬を変更すると、その変更前の報酬が経費として認められなくなる
  • つまり、簡単に増減できない=事前にしっかり設計する必要がある

このルールにより、「利益調整の道具」として使うことは実質不可能です。


実際に「見られている」のは、役員報酬の明細

銀行員や外部コンサルタントは、決算書のどこを最初に見るか?

じつは、「役員報酬の内訳書」だったりします。

それほどまでに、

  • 社長がいくら取っているか
  • 毎月どれくらい安定してもらっているか
  • ボーナスを含めてどう設計されているか

などが、経営の健全性・実態を見極めるための指標になっているのです。


表面的な利益ではなく、「現金の流れ」と「個人の意思」が表れる

役員報酬は、社長自身が意志を持って設定し、現金で受け取っている金額です。

だからこそ、

  • どれだけ経営に自信があるか?
  • どれだけ会社に依存しているか?
  • いざというときどれだけ報酬を減らせる余力があるか?

といった、財務分析では拾いきれない情報が「にじみ出る」のです。


財務指標は「参考値」、役員報酬は「真実の鏡」

ここで比較表をご覧ください:

指標操作性信頼性実態反映
経常利益高い(操作可能)低いズレあり
ROA中程度中程度時価とズレあり
売上高中程度中程度会計基準により変動
役員報酬低い(操作不可)非常に高い非常に正確

なぜ「数字を疑う力」が経営者には必要か?

経営者がすべての数字を鵜呑みにしてしまうと、判断を誤ります。

  • 税理士の「利益が減った=経営悪化」発言
  • 銀行の「ROAが悪いから融資は難しい」評価
  • 同業他社との比較で「ウチは儲かってない」と落ち込む

これらはすべて、「見かけの数字」に惑わされている状態。

**本当に見るべきは、変動しにくく、操作できず、実態を映す“硬い数字”**です。

それが、役員報酬


まとめ:数字を見るな、数字の「背景」を見ろ

  • 財務指標の多くは「参考値」にすぎない
  • 経常利益もROAも、操作されやすく信用できない
  • 一方で、役員報酬は操作が難しく、経営者の意思と自信が反映されている
  • 本当に強い会社かどうかは、「役員報酬」を見ればわかる

「経常利益+役員報酬」で見る実態の稼ぐ力:決算書の読み方を変えろ


あなたの会社は「本当に儲かっていない」のか?

決算が終わった後、税理士からこう言われたことはありませんか?

「今年の利益は昨年より500万円も減ってます。現役です。気をつけましょう。」

この言葉に、心がざわついた経営者も多いはずです。

しかし――。
それ、本当に「経営悪化」の証明になるんでしょうか?

実は多くの場合、「利益が減った」という判断は完全な誤解から生まれています。

なぜなら、中小企業の“稼ぐ力”を見るには、「経常利益+役員報酬」で見る必要があるからです。


なぜ「経常利益+役員報酬」なのか?

そもそも、経常利益とは何か。

経常利益=売上 - 経費(役員報酬含む)

つまり、**経常利益は「役員報酬を支払った“後”の利益」**です。
言い換えれば、社長がいくら稼いでも、それを役員報酬として出してしまえば、経常利益は減って当然なんです。

だから、

  • 昨年:役員報酬1000万円+経常利益1000万円=稼ぐ力2000万円
  • 今年:役員報酬1500万円+経常利益500万円=稼ぐ力2000万円

このような場合、稼ぐ力(実力)は同じなんですよね。

でも、経常利益だけで見れば「500万円減ってる=経営悪化」と勘違いされてしまう。
これこそが中小企業の“財務誤解あるある”なんです。


ケーススタディ:A社とB社、どちらが儲かっている?

次のような2社があったとします。

会社名経常利益役員報酬合計(稼ぐ力)
A社500万円1000万円1500万円
B社500万円500万円1000万円

経常利益だけ見ればどちらも同じ。でも、実質的な稼ぐ力はA社の方が圧倒的に上です。

この考え方は、銀行員や財務コンサルタントの間では「常識」。
でも、意外と税理士や社長本人が見落としてしまう視点なんです。


税理士のアドバイスが危険になるとき

税理士は「節税」のプロではありますが、「経営判断」のプロではありません。

以下のようなアドバイスをうのみにすると、逆効果の行動につながることも。

例)税理士の誤ったアドバイス

「今年は経常利益が減ってるから、社員のボーナスはカットしましょう」

「経費をもっと絞りましょう。交際費も抑えて」

これは、社内のモチベーションや売上への影響を一切考慮していない判断です。

しかも、経常利益が減って見えるのは「報酬を上げたから」という健全な理由かもしれません。
それなのに、財務を誤読したせいで、社員に不信感を与えるような措置をしてしまう。


正しい評価軸=経常利益+役員報酬

ここで、中小企業の稼ぐ力を測る「正しい公式」をご紹介します。

■ 稼ぐ力 = 経常利益 + 役員報酬

これは、中小企業の“実態収益力”を測る最もシンプルな方法です。

【図解】稼ぐ力の把握

【昨年度】
役員報酬:1,000万
経常利益:1,000万
→ 稼ぐ力:2,000万

【今年度】
役員報酬:1,500万
経常利益:500万
→ 稼ぐ力:2,000万

利益が減ったのではない。
報酬を上げた分、利益が下がっただけ
でも、稼ぐ力は変わっていない。


決算書の読み方を「経営者モード」に変えよう

もし、あなたが経営者として一段上の視座を持ちたいなら、税理士の説明をうのみにするのではなく、

「この経常利益は、報酬をいくら取った上での数字なのか?」

をまず確認する癖をつけてください。

それだけで、会社の財務を正しく“読む力”がつきます。


過去比較も「報酬込み」で判断せよ

前期比・前年比で会社の調子を見たいときも、必ず「報酬込み」で比較しましょう。

たとえば:

項目前期今期差異
役員報酬1000万円1500万円+500万円
経常利益1000万円500万円−500万円
合計(稼ぐ力)2000万円2000万円±0

このように見れば、「業績悪化」どころか、報酬を増やせるだけの余力があった=経営健全化とも言えるのです。


まとめ:見るべきは「稼ぐ力の総額」だ

  • 経常利益だけでは、会社の実力は測れない
  • 中小企業の実力を見るには「経常利益+役員報酬」で判断する
  • 税理士や銀行の誤解に振り回されない、正しい視点を持つ
  • 決算書は、社長自身が“経営目線”で読み解くべき武器

銀行との交渉術:支店長より稼げば、態度が変わる?


「銀行の支店長の態度が気に入らない」本音で言えば、ほとんどの社長が感じていること

中小企業の社長にとって、銀行との付き合いは「必要悪」とも言えるでしょう。

  • 態度が高圧的
  • 書類の提出を急かされる
  • 毎度“評価される側”になる

「こっちは金利払ってんだぞ!」と叫びたくなる場面、正直ありますよね。

でも、実はこの構図は変えられます。
そのカギが、「支店長の年収を超える」ことなんです。


交渉力の本質は「立場の非対称」にある

人は、自分より年収が低い相手には、無意識にマウントを取りやすくなります。

これは銀行員も同じです。

  • 年収1000万円の支店長
  • 年収1500万円の中小企業社長

この時、交渉の“空気”はどうなるか。
支店長は「この人、俺より稼いでる…」と無意識に立場を意識します。

これは心理学的にも証明されている話です。


「年収で上回った瞬間」から始まる、逆転劇

支店長の態度が変わるきっかけとして、以下のようなエピソードがあります。

ある設備工事会社・社長の話

  • 従業員15名、売上4億円
  • 役員報酬は年間900万円
  • 支店長にはいつも高圧的な対応をされていた

→ 年間報酬を1500万円に引き上げた(役員賞与込み)

その後、交渉の場で支店長が発したひと言:

「御社、社長の年収かなり上げられたんですね。…すごいです。」

口調も態度も変わった、と。

■ 変化した3つのこと:

  1. 融資交渉のトーンが柔らかくなる
  2. 信用保証の見直しに前向きな提案
  3. 支店長自身が来社する頻度が増えた

まさに「稼ぐ者が勝つ」世界です。


銀行員が“見る”3つのポイント

実は銀行員は、決算書を見るとき以下のようなポイントを無意識にチェックしています。

チェックポイント意図・見られている意味
① 役員報酬の金額経営者としての“力量評価”、生活余力
② 純資産の厚み継続性・倒産耐性
③ 金融費用比率資金繰りの健全性

つまり、役員報酬をしっかり取っている=会社にそれだけの稼ぐ力があると見られます。


見せかけの「誠実さ」より、「数字での強さ」が信頼を生む

多くの社長がやりがちなのが、

「自分は年収はほどほどでいい。会社に利益を残して誠実経営を心がけたい」

というスタンス。

それ自体は立派ですが、銀行側からするとこう映ることがあります:

「この会社、社長の生活ギリギリっぽいな…リスク高そう」

だからこそ、見せるための報酬もまた、戦略なのです。


心得ておくべき銀行員の“プライド構造”

銀行の支店長はプライドが高いです。なぜなら――

  • 地方では「エリート扱い」
  • メガバンクから転勤してきた出向組も多い
  • 「自分は経済を動かしている」という自負がある

そんな支店長に対し、対等な立場で接したいなら、年収という“数字の土俵”で勝つのが一番手っ取り早い。


年収1500万が「対等ライン」

メガバンク、地銀、信金――それぞれの支店長の年収目安は以下の通り:

銀行種別支店長の平均年収
地方銀行約1000〜1300万円
信用金庫約800〜1100万円
メガバンク1200〜1500万円(大型店)

つまり、1500万円を超えると、ほぼすべての支店長より上の立場に立てるということ。

これは、年収という「数値化された社会的ポジション」での優位を意味します。


自信がある経営者ほど、交渉で勝てる理由

銀行との交渉は、「書類バトル」ではなく「心理戦」です。

  • 書類だけ整えても、自信なさげな社長は弱く見える
  • 逆に数字が劣っていても、堂々とした態度の社長には銀行も一目置く

そして、自信はどこから来るか?
自分の稼ぎ=役員報酬の裏付けです。


まとめ:「態度が気に入らない」なら、まず稼げ

  • 銀行員の態度は、年収の上下関係で無意識に変わる
  • 支店長より年収が高いと、交渉スタンスも有利になる
  • 見せ金ではなく、「実力としての報酬」を堂々と提示せよ
  • 本当に強い経営者は、数字でも支配できる

報酬設定の黄金バランス:節税・経営安定・交渉力の三位一体戦略


「報酬は高ければ良い」は間違い、バランスが全てを決める

これまでの記事では、「支店長の年収を超えるべし」「報酬を堂々と取るべし」と伝えてきました。
でも、ここで一つ注意が必要です。

報酬は高ければ良い、という単純な話ではないということです。

高すぎる報酬設定は、会社の財務体力を削り、結果として信用力を下げるリスクもあります。
一方で、低すぎる報酬では、金融機関や第三者から「余力のない会社」と誤解されかねません。

つまり、役員報酬は「節税」「経営安定」「交渉力」この3つのバランスで最適化する必要があるのです。


フレームワーク:役員報酬の三位一体戦略マトリクス

以下のマトリクスで、役員報酬を考えるための3軸を整理します。

評価軸内容高すぎた場合低すぎた場合
① 節税効果経費計上による法人税圧縮個人の所得税が重くなる法人税が増えすぎる
② 経営安定性資金繰り・内部留保とのバランスキャッシュ不足・信用低下社長の生活が逼迫
③ 交渉力(外部評価)銀行や取引先に見せる“余裕”実力以上に見せて信用失墜「余裕のない会社」と誤解される

具体的な目標設定:「報酬1500万円ゾーン」をどう構成するか?

「1500万円」と聞くと高く感じるかもしれませんが、分解すると現実的です。

■ モデルパターン:

区分金額備考
月額固定給与100万円 ×12ヶ月 = 1200万円安定収入として設計
期末役員賞与300万円事前届出で損金算入可

年収合計:1500万円

これが、銀行支店長超えの“現実的ライン”です。


税制面での注意点:定期同額給与と事前確定届出給与

役員報酬を経費として計上するには、税務上のルールを守る必要があります。

1. 定期同額給与(毎月固定の給与)

  • 年間を通して金額が同じであること
  • 期中で変更すると、その年の全額が損金不算入になるリスク

2. 事前確定届出給与(役員賞与)

  • 株主総会などで金額と支給日を事前に決定
  • 税務署に提出すれば、賞与も損金計上可能

つまり、「賞与で調整しよう」としても計画的にやらなければ痛い目に遭うということです。


「報酬を上げる」ために必要な準備リスト

  1. 決算書3期分を用意して、売上・利益の推移を確認
  2. 節税シミュレーションを税理士と実施(個人+法人ベースで総合課税を見る)
  3. 銀行交渉における“見せ金効果”を想定し、支店長年収ラインを目安に
  4. 役員賞与を活用する場合、3ヶ月前には事前届出が必要

家族構成と生活コストも加味せよ

銀行は「この社長、生活に余裕あるのか?」を見ています。

仮に、

  • 子ども2人の教育費
  • 住宅ローン
  • 配偶者は無職

このような状況で、年収600万円では「この人、来年報酬下げられる余地ある?」と疑問視されます。

一方で、年収1500万円であれば「最低でも600万円に絞っても生活可能」と見られ、不況時の耐性=不況抵抗力が高いと評価されます。


よくある誤解:報酬は「下げにくい」もの?

確かに役員報酬は期中で下げられません(定期同額給与の制約)
しかし、「次期から下げる」は十分可能です。

つまり、今期に高めに設定しておくことは、将来のリスク対応の“余白”を作る行為とも言えます。


財務バランスシートとの関係

「内部留保(利益剰余金)」も、銀行評価には影響します。
ただし、内部留保ばかり積み上げて社長が低報酬だと、以下のような誤解が生じます。

  • 社長が生活に困窮=会社の資金繰りも厳しい?
  • 社長がリスクを負っていない=経営責任が弱い?
  • 本当に稼ぐ力がある会社なのか?

だからこそ、「報酬は適度に」「内部留保は堅実に」このバランスが重要なのです。


まとめ:報酬設定は「3つのバランス」で考える

  • ① 節税 → 法人・個人トータルで最適化を
  • ② 経営安定 → キャッシュフローとの調和
  • ③ 交渉力 → 外部からの評価指標として活用

この3点を押さえれば、単なる報酬の設定が、経営戦略そのものに進化します。

おわりに


役員報酬の設定は、単なる“給与決定”ではありません。
それは経営者としての 覚悟の表明 であり、会社の信用力を左右する戦略的な数字です。

あなたがいくら稼いでいるか――
それは税務署や銀行にとって、ただの情報ではなく、「この会社の本当の力」を測るための“物差し”になっています。

銀行の支店長と対等に渡り合いたいなら、
税理士に振り回されず自分の決算を読めるようになりたいなら、
会社の未来に安心感と自信を持ちたいなら、
役員報酬は、もっと戦略的に設計すべき指標なのです。

「支店長より年収で上回る」
一見するとただのプライド勝負のようですが、実はこれが、財務の現場で“格”を変えるリアルな戦術

本記事を通じて、あなたがこれまで見落としていた数字の意味、交渉力の本質、そして経営者としての強さの磨き方が少しでも見えてきたなら、私たちの役目は果たされたと言えます。

ぜひ今日から、
報酬の設定を「自分の武器」に変えて、堂々と次の一手を打ってください。

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