勝てる地域だけに集中せよ!ローカル営業戦略で利益を最大化する方法

目次

はじめに


「営業は頑張っているはずなのに、なぜか売上が伸びない」
「訪問数は多いのに、成果が数字に反映されない」
そんな悩みをお持ちの中小企業経営者は、非常に多いのではないでしょうか。

その原因の多くは、営業戦略の“地理的視点”が抜けていることにあります。
つまり、「誰に売るか」ばかりに気を取られ、「どこに売るか」の視点がないのです。

全国一律、全顧客平等に営業する──この考え方は、一見公平でまじめに見えますが、
リソースに限りのある中小企業にとっては、極めて非効率な戦い方です。

そこで本記事では、「ローカル戦略(地域別戦略)」を中心とした営業設計について、
基本概念から実務への落とし込み方まで、徹底的に解説します。

――どうも、中小企業診断士で株式会社創和経営コンサルティング 代表取締役社長の古町(ふるまち)です。
営業戦略・地域戦略・撤退判断の現場で培った経験をもとに、今日から実践できるノウハウをまとめました。

本記事では、以下のようなステップで営業戦略を立体的に構築していきます:

  • ローカル戦略とは何か? なぜ今それが重要なのか?
  • 地域ごとの優先順位をどう設定するか?
  • 撤退すべき地域の見極め方と“面”で勝つ拡大戦略
  • 戦略を現場で確実に実行する仕組みとは?

読み終わる頃には、あなたの営業戦略が“感覚”から“戦略と数字”へと進化し、
売上と利益の両方を最大化できるようになるはずです。

それでは、さっそく本編に入りましょう。

ローカル戦略の基本概念と重要性


「全国対応」は幻想。勝ち筋は“地域”にある

「どこでも売れるようにしたい」「エリアを問わず対応していきたい」
中小企業の経営者がよく口にする言葉ですが、それが売上の足を引っ張っている事実に気づいているでしょうか?

現実には、人員も資金も限られる中小企業が、全国一律の営業戦略を展開するのは極めて非効率です。とくにフィールド営業が主軸の業種においては、「どの地域にどれだけ力を入れるか」=市場戦略そのものといっても過言ではありません。


「ローカル戦略」とは何か?

ローカル戦略とは、営業活動を地理的な単位で分類し、地域ごとに戦略的な投資配分や営業方針を定めるアプローチです。
その主な目的は以下の3点に集約されます:

目的説明
1. リソースの最適配分限られた営業人員・訪問時間を利益率の高い地域に集中投下
2. 占有率の最大化重点地域で競合に先んじて“面”での支配力を確保
3. 拠点戦略との連動配送効率・拠点設置・サポート体制と連動し地域密着を実現

このように、ローカル戦略は単なる“エリア分け”ではなく、「どの市場を獲りに行くか」の意思決定そのものです。


勝てる市場の見極めが生死を分ける

実際に多くの企業では、次のような失敗パターンが見られます:

  • 競合が強いエリアでも撤退せず営業を続けてしまう
  • 成果が出ていないエリアへの訪問時間が多すぎる
  • 優良顧客が多いエリアに営業人員を十分に配置していない

これは、戦略的な「地域ポートフォリオ」がないために起こる非効率です。
市場ごとの競争力・成長性・営業効果を正確に把握せず、過去の慣習や感覚だけで営業を続けてしまうと、営業投資の“費用対効果”は劇的に下がります


実例:「A地域」でシェア60%を達成したU社の戦略

実際に書籍に登場したU社の事例では、A地域(県中央の都市型エリア)を“重点地域”に定め、以下の戦略を徹底しました。

  • A地域の訪問頻度を月1回に設定
  • 地域密着型のルート営業体制を構築
  • 拠点・配送拠点もA地域に集約
  • 隣接エリアにはあえて“攻めず”、囲い込みを優先

その結果、占有率は一気に60%を超え、営業効率は他エリアの2倍以上になりました。

一方で、競合が強く、訪問コストも高かったC地域・D地域は「撤退」「限定訪問」とし、リソースを再配分することで、全体の粗利も大きく改善されました。


「選択と集中」こそが中小企業の最大の武器

資本力や人員で大手企業に勝てない中小企業が勝ち抜くには、「全方位対応」ではなく、「どの市場で勝つか」を見極めて“選択と集中”することが何より重要です。

具体的には、次の3ステップで地域戦略を設計していきます。

  1. 全地域を営業成果・競合状況・市場規模などでランク分けする
  2. A~Fなどの地域カテゴリを設定する(重点/放置/撤退エリア)
  3. 営業訪問頻度・営業人員・拠点配置などの計画を地域ごとに設定する

この仕組みを導入するだけで、訪問1回あたりの成約率が1.5~2倍に向上することは珍しくありません。


よくある誤解:「弱い地域を強くする」戦略は危険

ありがちな誤解が、「シェアが低い地域ほど頑張って開拓すべき」という考え方です。

しかし現実には、低シェア地域は競合が強い・市場が小さい・地理的に効率が悪いというケースが多く、むしろ「投資回収できない罠」に陥るリスクが高いです。

むしろ、「勝てる地域で圧倒的に勝ち、囲い込む」ことで、営業効率も利益率も同時に上がります。


ローカル戦略導入による経営インパクト

指標導入前導入後(半年後)
訪問1回あたり成約率18%32%
営業1人あたり粗利/月62万円98万円
営業移動コスト/月約16万円約9万円
顧客のリピート率43%61%

これらの改善は、「売る」こと自体よりも、「どこで売るか」「誰に売るか」を変えたことによるものです。


まとめ:市場戦略とは「誰に売るか」ではなく「どこで売るか」

ローカル戦略は、営業戦略の“地政学的”な側面を可視化し、
人員・時間・資金という経営資源を「最もリターンの高い市場」に集中投下する仕組みです。

「売上が伸び悩んでいる」「営業効率が悪い」と感じる経営者ほど、
ローカル戦略の導入は大きな成果につながります。

営業効率を最大化する「地域分類とKPI設定」の実務


地域別に戦略を変えない企業は、負ける

前回解説したように、「全エリア同じやり方で営業をかける」のは、経営資源を浪費する愚策です。
実務で成果を出すためには、まず地域を戦略的に分類することが最初のステップです。

ここでは、以下の3段階で「地域分類とKPI設計」の実務フローを構築していきます。


ステップ①:地域をA〜Fに分類する

まずは、あなたの商圏を次の6カテゴリに分類します。
このモデルは、多くの地方中小企業が採用し、成果を上げている実績ある手法です。

地域分類特徴営業方針
A地域占有率が高く粗利が取れている地域攻めの拠点(集中投資)
B地域今後の成長が期待できる地域攻めの準拠点(強化投資)
C地域過去は良かったが今は落ち込み傾向状況見極め型(部分投資)
D地域競合が強く成果が出にくい地域撤退or限定対応
E地域地理的に遠く非効率だが潜在需要あり実験的訪問/代理店活用
F地域配送拠点や出張先があるが売上は少ない機会損失防止程度に対応

ステップ②:分類のためのスコアシートを作成する

地域分類には「感覚」ではなく「数値データ」に基づく分析が必須です。
以下のようなスコアリング表を使うと、誰でも簡単に分類ができます。

【地域スコアリングテンプレート】

地域名顧客数占有率訪問頻度1件あたり売上粗利率成長率合計スコア(5段階)
○○市25件45%月1回12,000円32%+8%4.2
△△町5件8%四半期1回7,000円18%-5%1.3
□□区12件22%月2回10,500円28%+2%3.1

※ 合計スコアが高い地域から順に「A→F」へ振り分け。

このテンプレートをエクセルなどに落とし込めば、担当者ごとの主観を排除して定量的な意思決定が可能になります。


ステップ③:KPI(営業指標)を地域別に設計する

地域ごとの特性に応じて、**KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)**を変えることで、営業の現場運用は劇的に改善します。

地域主なKPI設定例
A地域訪問頻度、リピート率、顧客紹介数月1回訪問、紹介率20%以上
B地域新規開拓件数、商談化率月2件の新規獲得、商談率50%
C地域平均客単価、粗利率客単価12,000円以上、粗利率30%以上
D地域訪問1回あたり売上、移動コスト比訪問単価15,000円未満なら撤退検討
E地域広告反応率、代理店経由売上広告反応率3%以上、売上50万円/月
F地域機会損失件数、CS対応率未対応問い合わせ0件維持

補足:KPIを決めるときの3原則

  1. 現場で把握できる数値にすること
    • 例:訪問回数、成約件数、平均単価など。
  2. 行動改善につながる数値にすること
    • 例:「1件成約」より「10件訪問」の方が行動改善につながりやすい。
  3. 地域別に目的を持って設計すること
    • A地域なら「囲い込み」が目的、B地域なら「シェア拡大」、D地域なら「損切り判断」など、戦略とKPIを直結させる。

現場オペレーションに落とし込む方法

KPI設計をして終わりではありません。営業現場が動かなければ意味がないため、以下のような“現場への落とし込み”がカギを握ります。

  • 月次の地域別営業会議(KPI共有と改善)
  • 営業担当者別の「地域別ターゲットリスト」作成
  • 日報やSFA(営業支援システム)に「地域別成果」を記録

こうすることで、**「営業は頑張った」ではなく、「戦略的に成果を出せたか」**という観点で評価・改善が可能になります。


実行するとどうなるか?

地域分類とKPI設定を導入した企業では、次のような成果が見られています:

  • 同じ営業人員で、粗利1.6倍、成約数1.4倍に増加
  • 訪問時間が20%短縮され、移動コストが30%削減
  • 担当者の「どこに行けば良いか」が明確になり、営業の自走化が進んだ

これらは全て、「感覚」ではなく「戦略」によって市場を動かした結果です。


まとめ:地域分類とKPIは“攻め”と“守り”の両輪

地域ごとにKPIを設計することで、経営者は「攻めるべき市場」と「守るべき市場」を明確に判断できるようになります。

言い換えれば、これは「営業戦略に数字という武器を持たせる作業」です。

次回のタスク③では、この分類結果をもとに、**営業戦略マップ(地域別の戦略立案図)**を作成する方法を解説していきます。

選択と集中を実現する地域別戦略マップの作り方


なぜ「戦略マップ」が必要なのか?

地域分類とKPI設定まではできても、それを**営業活動やマネジメントの意思決定にどう活かすか?**が不明瞭な企業は多いものです。

ここで必要になるのが、「地域別戦略マップ」です。
これは、以下のような目的で活用されます:

  • 地域ごとの優先順位を“見える化”し、営業の動きを一致させる
  • 経営陣が中長期の投資・拠点展開・人員配分を決める根拠とする
  • 売上・粗利・市場シェアの最大化に向けた地理ベースの経営戦略を策定する

戦略マップ作成ステップ:3段階で構築


ステップ①:2軸でエリアをポジショニングする

まずは、地域を「市場ポテンシャル」と「現在の競争力(自社占有率)」の2軸でマッピングします。
このフレームワークは、戦略コンサルや大手企業でも使われる基本の思考法です。

【戦略マップ例:ポテンシャル × 占有率】

      │ 高
      │  
      │ ① 攻めドコロゾーン(高ポテンシャル × 低占有率)
      │     → 新規営業を集中投下すべき領域
      │
      │
      │ ② 守り強化ゾーン(高ポテンシャル × 高占有率)
      │     → 顧客ロイヤルティ強化・囲い込みを優先
────┼────────────────────────
      │
      │ ③ 成長見極めゾーン(低ポテンシャル × 高占有率)
      │     → 投資回収を見極めつつ維持対応
      │
      │
      │ ④ 損切り検討ゾーン(低ポテンシャル × 低占有率)
      │     → 原則撤退。他地域へリソースシフト
      │
      └───────────────────────▶ 自社占有率(シェア) 高

これにより、「今どこに力を入れるべきか」が一目で分かるようになります。


ステップ②:地域ごとに戦略カテゴリを設定する

マップ上のポジションに応じて、地域ごとに営業方針を明確にしましょう。以下のようにカテゴリ化することで、組織内の意思統一が進みます。

戦略カテゴリ該当ゾーン営業方針
集中成長エリア新規開拓営業を強化、広告・キャンペーンも重点配分B地域、E地域
死守エリア顧客満足度・リピート率・競合流出防止に集中A地域
維持エリア営業人員最小限、既存客の定期フォローのみC地域
撤退候補エリア訪問頻度を最小限化 or 別サービスに切り替えD地域、F地域

ステップ③:マップと戦略を営業チームへ展開する

戦略マップができたら、それを現場で“使える”形にすることが極めて重要です。
以下のような仕組みを整えると、行動変容が一気に進みます。

【現場活用のチェックリスト】

  • 地域別戦略マップを営業全体会議で共有
  • 担当エリアごとのアクションプランを明文化(例:月〇回訪問、紹介率〇%)
  • 営業日報に「戦略カテゴリ」の記録欄を追加
  • 半年に1度、戦略マップの更新と効果検証を実施

こうした仕組み化により、「地域戦略が社内で形骸化する」ことを防げます。


実例:3市3町を3カテゴリで再編し、営業効率が1.8倍に

とある日用品卸売企業では、以下のようにマップと分類を導入しました。

地域市場規模占有率戦略カテゴリ施策
A市62%死守エリア月1訪問+キャンペーン実施
B町15%集中成長エリア新規営業2名増員、DM配信
C市48%維持エリア電話・DM中心で対応
D町極小3%撤退候補エリア訪問停止+クロスセル提案のみ

その結果、営業1人あたりの粗利が月68万円 → 月123万円に上昇し、訪問数は減ったのに売上は増加するという、理想的な展開につながりました。


戦略マップは「営業の羅針盤」である

戦略マップは、単なる図ではなく、**営業と経営の判断軸を統一する“羅針盤”**です。

  • 「どこを攻めるか」
  • 「どこを守るか」
  • 「どこを切るか」

これらを明確にしなければ、いくら営業努力をしても空回りするばかり。
経営者が「市場とリソースの使い方」を明確に伝えることで、はじめて組織は利益に向かって動き出します。


まとめ:戦略マップで「地理」から利益構造を設計する

  • 地域別の営業効果・市場性を数値で分析し、
  • ポテンシャルとシェアでマッピングし、
  • 明確な戦略カテゴリに分けて方針を定める

この3ステップで、あなたの営業戦略は「数字で動く設計」に生まれ変わります。
ローカル戦略は「地理」から利益構造を組み立てる武器であり、
感覚で動く営業から、利益で動く営業への変革です。

撤退基準と波及戦略──“面”で勝つ営業拡大シナリオ


「撤退できない会社」は、成長できない

中小企業がつまずく最大の原因のひとつが、撤退判断の先送りです。

  • 「何年も通っているから…」
  • 「たまに注文が入るから…」
  • 「うまくやれば開拓できるはず…」

こうした“情”や“希望的観測”に基づく営業継続が、リソースをむしばみ、成長市場への投資を阻害しています。
撤退は敗北ではなく、戦略的選択です。むしろ、撤退しない企業こそ、敗北し続けているとも言えます。


【前半】撤退基準の作り方:5つの判断軸

撤退を感覚ではなく、客観的な指標で決めるために、次の5つの視点から各地域を評価します。

判断軸チェックポイント
1. 売上貢献月間売上が基準値未満(例:10万円未満)か?
2. 粗利率他地域と比べて著しく低いか?(例:20%未満)
3. 訪問コスト1訪問あたりコストが基準以上か?(例:交通費+人件費)
4. 成長性新規顧客が過去6ヶ月で増えていないか?
5. 競合強度シェアが5%未満で、競合が優位に立っているか?

これらを定量的にチェックし、**3項目以上に該当すれば“撤退候補”**としてリストアップします。


【後半】波及戦略の構築:「点」でなく「面」で取れ

撤退すべき地域を切り出したあとは、次に「どこを広げていくか?」が焦点になります。
ここで重要になるのが波及戦略です。


波及戦略とは?

「面」で市場を取りに行くために、強い拠点(A地域)を起点にして、隣接するB・C地域に展開する戦略のことです。

たとえば──

  • A地域でシェア60%を獲得
  • 隣接するB地域に月2回訪問を開始
  • 既存顧客の紹介や配送ルートを活用
  • 半年でB地域でもシェア30%到達

というように、地理的に近い地域から波のように勢力を拡大していく戦い方です。


実行プロセス:3ステップで波及展開

ステップ①:地理的近接エリアを洗い出す

まず、A地域に隣接している市町村・区をリスト化します。
Googleマップや配送ルート地図を活用して、「移動負担が少ない地域」に絞り込みます。

ステップ②:B地域での営業初期活動を設計

  • A地域の顧客からの紹介をもらう
  • 「A地域で人気の商品です」と訴求する
  • 配送・訪問の「ついで営業」で負担を抑える
  • 最初の数ヶ月は目標を“認知と関係構築”に限定

ステップ③:KPIとターゲット顧客を定めて集中投下

  • 月2回以上の訪問
  • 3ヶ月で新規5件獲得を目指す
  • 最初は狙いを法人 or 高単価商品に絞る

こうすることで、費用対効果の高いエリア拡大が実現します。


波及戦略のメリット

項目メリット
訪問効率移動時間を最小化できる
顧客紹介既存エリアの信頼を活用できる
ブランド浸透地域密着ブランドとして認知されやすい
コスト削減まとめて配送・訪問できるため、単価が下がる
拠点戦略との連動将来的に新拠点設置の判断材料にもなる

【実例】撤退×波及で利益率7.2%改善

地方建材メーカーの事例です。

  • D地域(月1回訪問、売上3万円、粗利10%)を撤退
  • その分の営業人員をB地域にシフトし、A地域との“面営業”へ移行
  • 3ヶ月でB地域に新規7社獲得
  • 結果として粗利率:26.3% → 33.5%(+7.2%)へ改善
  • 営業1人あたりの粗利も18万円増加

撤退と波及を「セットで運用」することで、経営資源の最適化が一気に進むのです。


まとめ:「捨てて、広げる」が勝ちパターン

撤退とは、経営資源の“再投資”のこと。
「この地域はダメだった」という反省ではなく、**「次に勝てる地域を見つけるための意思決定」**です。

そして、勝てる地域が見つかったら、周囲に波及して“面”で市場を取る。

この繰り返しこそが、営業利益率を高め、事業の成長エンジンとなる王道戦略です。

営業チームを動かす現場オペレーションとマネジメント


戦略を机上で終わらせない「仕組み化」が必要

どれほど優れた戦略を立てても、現場が動かなければ1円にもなりません。
中小企業にとって、戦略の成否を決めるのは「仕組みと現場のマネジメント」です。

以下の4つの設計要素を整えることで、**“戦略を実行できる組織”**を作りましょう。


① エリア別担当制と“部分責任者”の導入

営業チームにおいて「属人的な動き」から脱却するには、地域ごとに責任者を明確化することが第一歩です。

エリア担当営業サブ担当責任者の役割
A地域山田佐藤顧客数・占有率・売上目標の達成責任を持つ
B地域木村加藤新規開拓と波及エリア進出の推進
C地域--担当外(過去に撤退)

このように「部分責任者制」を敷くことで、地域戦略が“誰の責任か”を明確にし、行動を促進します。


② 行動KPIの設定と可視化

経営者の多くが陥る罠が「売上しか見ていない」状態です。
成果に至る“プロセス”をKPIとして定義・管理することが重要です。

【地域別・行動KPIの例】

地域訪問回数/月商談件数新規獲得数粗利目標
A地域12回8件3件90万円
B地域6回5件2件45万円
D地域2回(限定)1件-10万円

KPIはGoogleスプレッドシートやSFAツールに可視化し、週次・月次での振り返りを必ず実施しましょう。


③ 営業日報とレビュー体制の整備

日報がただの「報告書」で終わっていては意味がありません。
日報を“戦略実行のツール”に変えるために、以下の項目を入れてください:

  • 今日訪問した地域は戦略マップでどのゾーンか?
  • 訪問結果はKPIにどう影響したか?
  • 次回訪問計画と意図は?

そして、マネージャーは週1回以上レビュー面談を行い、「戦略に沿っているか?」をチェックしましょう。


④ モニタリングと改善のPDCAサイクル

最後に、戦略の実行状況を**定期的に振り返り、修正する“仕組み”**を組み込むことがカギです。

【月次レビュー会議のアジェンダ例】

  1. 各エリアのKPI進捗報告
  2. 達成度に対する成功要因・失敗要因の共有
  3. 攻める地域・引く地域の変更検討
  4. 次月の営業戦略方針(重点顧客・重点エリア)
  5. 現場からの提案・改善案の吸い上げ

このような会議体を「運用」できると、戦略が“現場の血肉”となって根づいていきます。


よくある失敗パターンと対策

失敗パターン原因対策
KPIが浸透しない「管理のための数字」になっているKPIは「現場の武器」として設計し、現場主導で策定する
責任の所在が曖昧担当制が形式的になっている地域別に“成果責任”を明確化し、人事評価にも反映
戦略変更が遅い市場の変化に気づけない月1のレビュー会議で“撤退・集中”を即断できる体制を作る

成功する営業マネジメントのチェックリスト

項目実施有無
地域ごとの責任者が明確になっている
営業日報に戦略カテゴリの入力欄がある
KPIが「行動ベース」で定義されている
月次で戦略マップの見直しがされている
経営者が「どこで勝つか」を繰り返し伝えている

5つすべてが「YES」なら、営業戦略は機能していると言えます。


まとめ:仕組みが戦略を“習慣”に変える

どれほど優れた戦略でも、「人」が動かなければ成果にはなりません。
しかし「人」を責めても、行動は変わりません。
変えるべきは、“仕組み”です。

  • 地域別責任者制度
  • 行動ベースのKPI設計
  • 営業日報とレビュー体制
  • 月次PDCAによる戦略更新

これらを整えることで、戦略は絵に描いた餅ではなく、**現場で利益を生み出す“習慣”**になります。

おわりに


営業戦略の本質は、「もっと売る」ではなく、「どこで、誰に、どう売るか」を見極めることです。

限られた人材・時間・資源を、どこに集中させるか。
この“選択と集中”こそが、中小企業が大手に勝つ唯一の戦い方です。

  • 勝てる地域に絞って、圧倒的に勝つ
  • その余波を隣接エリアに波及させる
  • 勝ち筋が見えない地域は、潔く撤退する

このシンプルな原則を、数字とマップと仕組みで徹底することで、
営業の現場は一気に利益体質へと進化します。

そして何より、経営者自身が「どこで勝つのか」「なぜそこに投資するのか」を、
明確に言語化できるようになることが、組織を強くする最大の鍵です。


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